文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第4回)概要

小林委員(日本私立大学協会)
・日本の大学の約77%は私立大学、大学生の約75%が私立大学生。
・私立大学における入試の基本的な考え方は、建学の精神を源泉とする多様で特色ある教育実践の第一歩であること。

【「大学入学共通テスト」の利用に関する緊急アンケート実施の結果】
1. センター試験を利用する加盟私立大学は90%を超える。その利用方法の多くはセンター試験のみでの合否判定。
2. AOや推薦など多様な入試を行うためセンター試験利用入試による入学者のウェイトは低い。特色ある多様な入試を実施する中で、一般入試においても英語4技能評価を導入。
3. 一般入試における英語4技能の測定は民間の資格検定試験が中心(77.4%)多様な入試を展開するためセンター試験での入学者も少数であり共通テストに民間資格検定試験を活用する必要性を感じない。
4. 多くの私立大学でアドミッションポリシーに基づき一般入試においても学力の3要素の重要性に鑑みて、記述式問題が実施されている。
5. 既に一般入試に記述式問題を実施し、入学共通テスト活用試験での入学者も少数である私立大学で入学共通テストに記述式問題を出題する必要性を感じていない。
6. 共通テストで記述式を導入するのであれば、公平性・公正性の観点から大学入試センターでの採点が望ましい。
7. 安心して受験できる環境整備のため、大学入学共通テストでの協力を越えて、更なる協力を表明する大学が約半数。

【意見交換】
・私立大学では記述式を導入しているという話だが、選抜方法は様々であり推薦、一般入試等どういう記述式を活用しているのか。(益戸委員)
⇒AO等で課している。一般入試でもデータ解析する等の記述式を課している大学もある。(小林委員)

・何万人もの受験生がセンターの願書のみでマッチングしている状況でありアドミッションポリシーの観点から選抜しているといえるのか。また、記述式もセンター試験のみで実施してほしいということを望んでいる大学があるとのことだが新しい学力をどうやって測ろうと考えているのか。記述式問題を通してどういう人材が欲しいのか、大学自身で測るべき。(吉田委員)
⇒センター入試のみで合否判定を行っていると記載してあるが、センター入試を受けている受験生は通常一般入試を受けている。センター試験のみで入学している学生が多々いる、というのは正しくない。定員を割り込んでいる大学について門戸を開いていきたい。(小林委員)

センター試験のみで合否判定している大学は記述式を受験生に問うていない。(吉田委員)
⇒記述式をセンター試験で実施すれば問題ない。(小林委員)

・経済的な課題について申し上げたい。私立大学を受験する際、センター試験を受験する際に受験料がかかる。私立試験の受験、センター試験のみで合否判定、センター試験併用の個別試験それぞれのコストについて教えてほしい。(牧田委員)
⇒受験料収入は私立大学にとって重要。センター試験のみで合否判定する場合でもコストはかかっている。シミュレーションを積み重ねている。(小林委員)


宍戸委員(国立特別支援教育総合研究所)
・合理的配慮の提供:一人一人の申し出について、センターで確認し、合理的配慮の提供を実施
特別支援教育の視点から眺めた「高大接続」
1. 高校・高等部の多様な実態:「個に応じた指導」 合理的配慮の提供
2. 大学の多様な実態:「個に応じた学修」 合理的配慮の提供
・大学入試について
 多種多様な入学試験をすぐに整理できるか? ⇒段階的な取組
 英語の四技能(使える英語の獲得)、記述式問題(思考力等の育成)は、必要。
 ⇒共通テストで、すぐに行えるか?様々な試験に、どのように盛り込むか?
・英語民間試験活用の際には、合理的配慮の提供をどう考えるか?
・合理的配慮は、大学入学後の学修においてこそ、重要

【意見交換】
(末冨委員)センター試験だけでなく個別試験において障害を持った受験生に対する合理的配慮とはどの範囲なのか。多様性への対応や配慮についてはどうか。

(柴田委員)日本の学生の中での障害を持つ学生の割合は極めて低い。そもそも入学を志願する学生が少ないのではないか。センター試験受験の際、発達障害で配慮された方は少ない。大学に進学する段階でハードルがある。障害を持つお子さんのキャリアパスから考えていって大きな意味で入学を選ぶということを考える必要がある。


両角委員(東京大学
・専門家や現場の意見を軽視したことが問題。英語民間試験導入、記述式問題が大きな二つの目玉政策といわれるようになった議論の背景は依然としてよく理解できない。議論の論点が学力不問から、国公立の共通試験へ変化。なぜ、どのような経緯で、こうした転換が起きてきたのか、今後議論を進めていく上でも経緯を把握し共通理解を持ったうえで議論をしていく必要。
・「(これまでの)センター試験は教科学力を選別する機能を果たしている」はそれらを多く活用している国公立大学でむしろ評価が高く、国公立大学ではむしろ入試の負荷の大きさが最も大きな課題。入試の当事者である大学が入試に関わる課題をどのように認識し、どのように変革したいのか、ということを明確にした上で議論がなされる必要がある。
・大学が感じている負荷の問題は軽く考えてはいけない。その際に大学による多様さを無視することはできない。多様化した状況のなかでの共通テストの目的・意義は何かを再検討する必要。
・英語4技能や記述力を重視する動きは、教育現場で既に広がりつつあり、それらを支援することで、より多くの生徒・学生が利益を享受できる。
入試を変えなくても、大学教育は変わってきた。様々な取組みを行っている中で、取組みを向上させる支援をしたらどうか。
・「読む」「書く」「話す」「聞く」の能力は相互に関連しあった能力。習得には順序があるとの指摘もある。必要な英語能力も、どの分野でどのように活躍するかによっても異なっており、共通テストで一律に「4技能」を求めるのではなく大学によって重視する度合いも違っておりそれぞれの大学が個別に判断し、必要なものを活用すればよいのではないか。
・記述式についても英語4技能と同じで、それぞれの大学が判断してそれぞれが望ましいと考える形で導入すればよい。50万人を対象とした共通テストで記述式を導入することの限界は少しでも採点の経験があるのもであればすぐに気づく。

【意見交換】
・定員割れしている大学であっても、入学後の学生の能力を伸ばすことにより努力を向けることも大事であることには共感。数年来、高大接続改革の中で高校の教育は徐々に変わっていると聞いている。(島田委員)
進学校の方が影響を受けないのではないのか。入試のためではなく、すでに高校で取組みを行っているためリスニングの対策を特にしていない高校もある。(荒瀬委員)

文部科学省 初等中等教育局より「高等学校指導要領と英語資格・検定試験との関係について」説明があった後、質疑応答があった。

文部科学省説明概要】
英語の資格・検定試験と高等学校学習指導要領との整合性の確認について:
有識者及び文部科学省職員による確認:英語教育の専門家、高等学校英語教育の教育課程の基準の専門家、英語教育を所管する文部科学省職員が整合性があることを確認。
育成・評価する能力:英語 4技能を総合的に評価しようとする資格・検定試験と、育成・評価する能力の方向性は一致している。各資格・検定試験が掲げる目的は多様であるが学習指導要領が想定している言語の使用場面の範囲から外れるものではない。

【質疑応答】
(渡部委員)文科省から説明された内容は、高校現場での授業の改革・改善、卒業試験を作るという枠組みの中では理解できる。
大学入試と直接関係があるとは思えない。検証が不十分でないか。センター試験であれば2年間をかけて学習指導要領も含めて研究する。
一方、ケンブリッジ英検、IELTSなどは日本の学習指導要領を検証して作問しているとは思えない。日本の学習指導要領と全て合致して、それを測定するためにあるわけではない。点数で見えていないところもあり、CEFRのA2は「簡単で日常的な範囲なら身近で日常の事柄について単純で直接的な情報交換に応じることができる。」と定められている。しかし資格試験の中では、読んで読解を確認するということを測っている試験もありインタラクションを測っているわけではない。ケンブリッジ英検などは受検者同士のコミュニケーションを判定するようになっている。CEFRもほとんど意味がないと考える。リーディングとリスニングができて点数が高い人、スピーキングとライティングができて点数が高い人が同じになる。高校にも影響がある。しかし大学入試で活用することはおかしい。焦点を絞って議論をするべきである。

文部科学省)民間試験がベストだとは考えていない。ただ、学習指導要領との関係を考えると、現在の和訳だけや英訳だけの問題よりも有用ではないかと考えている。

(渡部委員)センター試験ではアクセントの問題が出題されていたが、発音のテストができないのでその代わりとして出題している。これは入試の限界であり、そこを配慮して出題している。350万人の人が英検を受検しているが日本人は英語ができないといわれている。英語能力を大学入試で判定することで改善すると考えているのか。

文部科学省)英語民間試験は様々あり、日本の大学入試に必要な力を設定している試験や世界で活用されているものなど様々あり、それぞれにメリット・デメリットが存在している。本来入試を受けるにしても受けないにしても、学習指導要領に沿った形で測定できることが重要であり、それをどのように測定するかは議論いただきたい。

(吉田委員)センター試験が学習指導要領に基づいているといわれていたが、では個別試験はどうなのか。大学によって異なるが学習指導要領から外れた内容を出題している大学もある。英語4技能を測る際にどの試験を受けるのかは学生によって変わってくる。海外大学を受験したい学生はTOEFL、IELTSを受ける。センター試験で英語4技能を測る場合、成績提供の問題もありスケジュール上不可能。その中で英語4技能を民間試験で測り入試で活用できないかということとなった。現在高校生はコミュニケーション能力の一つとして英語4技能を鍛えてきている。10年以上前から英語で授業を行う取組みもしている。ところが高校3年生で英語で授業をすることが減ってきている理由は2技能の試験が入試で問われるから。
高校で英語4技能教育をやったとしても、大学でどれほど英語4技能教育をしてもらえるのか疑問。

(末冨委員)検証を踏まえると、作業自体の課題が存在している。また、示されている課題が入試改革の中では改善できないものもある。パフォーマンス評価ができているかどうかは県教委の指導性も関わってくる。英語4技能の形成については本来、都道府県行政に主体性があるという理解なしで入試だけに責任を負わせるものではない。大学入試の不適切な出題について。日本大学では英語の学習指導要領を幾重にもチェックしている。そうではない大学も存在しているので、質が保証されているわけではないと個人的には考えている。そこは初等中等教育でフィードバックの仕組みを考える必要がある。また入試で英語のリーディングとライティングを問うことは各大学のアドミッションポリシーに基づいていることはもちろんだが、最新の研究状況は英語で発信されているのが一般的なため、それを踏まえてリーディングとライティングを重要視している。

 

文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第3回)概要

萩原委員(全国高等学校長協会)
・英語4技能の力を育成する必要性は認めてきており育成に努めている。検定試験の活用を否定しているわけではない。
私見として、大学入試は大学が責任をもって主体的に実施すべきである。
高等学校で身に付けた英語4技能を評価する大学が、入試において責任をもって実施することが望ましい。
・英語4技能を共通テスト下で実施することが必要であるならば、入試センターが責任をもって実施すべき。

吉田委員(日本私立中学高等学校連合会
・記述式問題については、本来であればアドミッションポリシーに基づいて各大学が自分たちの大学で
ほしい学生を選ぶべきものである。
・新学習指導要領の開始と同時に大学等が英語4技能試験を導入し、記述式問題についてもしっかりと時間をかけてやっていくという考えに変わりはない。

【質疑応答】(高等学校関係者)
(質問)英語4技能を問うていくことが可能な高校教育の体制になっているのか。
すべての都道府県で十分な支援体制が確立しているのか。
⇒全国が同じような形での英語教育を受けられる状況にはない。[萩原委員]
⇒各学校(レベル)に合った教育をしないといけないため英語4技能を一律にやることは 不可能。[吉田委員]

(質問)記述式についてはどのようにお考えか。
⇒センターが責任をもって実施する試験であったため全校長から特にコメントをしていない。採点などの問題はクリアしていただきたい。[萩原委員]
⇒記述式問題は絶対にこれからの世の中必要だと思う。アドミッションポリシーが大きく影響するので各大学で実施するのが正しいと考える。共通テストと願書だけで試験を済ます大学に4技能や記述式を組み込むことができるか疑問を持っている。[吉田委員]

岡委員(国立大学協会
・英語4技能は重要であるとの認識に変わりはなく、アドミッション・ポリシーにしたがいこれまでもAOや推薦等、特別選抜において英語民間試験が活用されてきている。仮に個別試験で英語4技能を測るとするならば、特にスピーキングに関して画一的にすべての国立大学の個別一般試験に課すことは、現行の試験期間や受験生の経済的負担等を考慮した場合に非常にハードルが高いと考えている。記述式についてもアドミッション・ポリシーに基づいて個別試験で記述式を課しており国大協の基本方針でも科目を限定せず高度な記述式を課すこととしている方針に変わりはない。

柴田委員(公立大学協会
・学部を持っている91校に認定試験の利用方法は、あくまでそれぞれの公立大学の判断に従うことを原則として、分離分割方式で入試を実施していることを踏まえ、受験生の混乱を最小限に収めるため共通テストと認定試験の双方の利用が望ましいことを通達(H29.12)。
・英語成績提供システムを4年後には何らかの形で導入し、充実した統一試験等々が実現することを期待。

芝井委員(私立大学連盟)
・英語4技能の重要性と学力の3要素を測定するために記述式問題を導入することは、改革の理念として理解。
・大学の人材育成機能の強化は、高校教育の質の向上、大学入試改革を共に進めていくことが重要。

【質疑応答】(大学関係者)
(質問)英語4技能については,大学の段階でしっかり教育していれば問題ないと考えているのか、それとも、入試の段階でとりたい人材がとれていなかったから新テストに期待したのか、などの問題意識について伺いたい。
⇒アドミッション・ポリシーに応じて各大学で対応している。80大学がネイティブスピーカーを雇用しておりTOEIC等を到達水準にしている大学が45大学と半分を超えている。今の時代に英語が必要であるという認識がある。[岡委員]
⇒プレースメントテストでクラス編成などを行っている。1点刻みではなく段階別評価で、入学者を決めることは画期的な改革だったのではないか。[柴田委員]
⇒個人的な意見も入るが、英語4技能等を操れる国際人を作るエリート教育、その他の大学生に対してどんな教育を私たちが提供したらいいのかというのは難しいかもしれないが、きっちり分けた方がよい。議論するときには頭に置いた方が良い。[芝井委員]

(質問)定員管理の厳格化と関係するが,英語の民間試験,記述式が段階別表示でB2に数万人の受験生が並んだ場合に、入試のテクノロジーとして活用できるのか。段階別評価ではない、1点刻みのテストの方に重きが置かれて評価される方向になる可能性もある。
⇒定員管理については、1点刻みの入試が難しくなってきている中で卒業・進級の評価を厳しくすべきという意見もある。段階別表示を導入するのであれば、受験生の立場に立つ観点も重要。[岡委員]
⇒1点刻みの評価と、段階的な評価の折り合いは難しい。1点刻みではなくても序列は出てきて、そのようなシステムの開発もされているが、社会的な認知が得られていくまで地道な努力が必要。[柴田委員]
⇒日本の高等教育のおかしいことの一つが定員管理の問題。高等教育政策として将来どうするつもりなのかはっきりしてほしいというのが基本的なスタンス。[芝井委員]

(質問)国立大学は中止が決まって英語4技能を適切に評価することが重要であるというというふうに変わったのには理由があったのか。公立大学は成績提供システムが活用されなくなった途端に民間試験を活用する大学が減ったため、何をやったらいいのか子供たちは分からないと思うがいかがか。私立大学は、英語4技能や学力の3要素等の教育が中1から始まっているが、それに合わせた考えは。
⇒以前から英語4技能は重要であるという考えに一貫して変わりはない。
学習指導要領に沿って英語4技能を入学者選抜において適切に評価することは重要だと会長コメントでも申し上げている。[岡委員]
⇒成績提供システムのメリットが大きかった。共通テストに参加していない大学でもシステムを利用している大学もあった。大学によって段階的評価をどう取り組むか、というのがそこまで議論が深まっていなかった。[柴田委員]
⇒本来は基礎学力テスト(高校段階での達成度テスト)をきちんとすべきであった。高校にふさわしい形の学力を担保するということをすると、もう少し自由に入学者を決めることができたと思う。[芝井委員]

文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第2回)概要

第2回検討会議では、萩生田文部科学大臣より、挨拶の中で「白紙から検討」の意図について改めて説明があった。意図としては、高大接続そのものや、英語のよるコミュニケーション能力や思考力・判断力・表現力を育成・評価することの必要性は変わるものではなく、これらの重要性を踏まえた上で、入試と高校教育や大学教育との役割分担をどう考えていくか、どこまでを入試で問うべきか、共通テストと各大学の個別入試との役割をどう考えるかなどについて議論をしてほしいとのことであった。

その後、文部科学省より過去の検討経緯の整理について説明が行われ、意見交換が行われた。意見交換後、川嶋委員、牧田委員の意見発表が行われた。

萩生田大臣「受験生が安心して受験できるよりよい制度を構築するために、これまでの課題や経緯を検証しつつ方向性を議論いただくために会議を設置した。高大接続改革そのものや英語によるコミュニケーション能力や思考力・判断力・表現力を育成・評価することの必要性に変わりはない。それを踏まえたうえで、入試と高校教育、大学教育の役割分担をどう考えていくのか、どこまでを入試で問うのか、また、共通テストと個別試験の役割分担をどう考えるのか議論いただきたい。」

意見交換における主な意見

  • 2020年から実施というターゲットイヤーに縛られてしまい、実現可能性やリスクについて検討がされずに進んでしまったのではないか。

  • どのような意思決定がなされて最終的にこうなったのか、検証する必要がある。

  • 高校教育で英語4技能を育成することと、入試で英語4技能を測ることは別ではないか。4技能すべてを測る必要性はあるのか。高校が証明すれば大学はそれで評価する。

  • とりまとめの際には、直ちにできることの他に、将来に向けた検討課題を残すことも重要ではないか。この会議で解決できないことはしっかりと引き継ぐべき。

  • 離島と本土の間には経済的な格差が存在するので、そういった地域格差・経済格差についてしっかりと考慮したうえで検討してほしい。

川嶋委員の意見発表

  • 入試に過大な役割が期待されていることが問題である。高校教育、大学教育、入試の各々の役割で進めるべきものである。
  • 限られた時間で何を議論するのか、本会議のアジェンダ、射程の明確化、合意形成がまず必要。

牧田委員の意見発表

  • 記述式は採点者の主観が入る、各大学が各大学の基準で責任をもって行うべき。
  • 一連のプロセスの中に入試があるので、入試だけ考えても解決しない。
  • 日本はシステム的に、中卒では一人前の給料がもらえない。ドイツのように、義務教育修了後にたくさんの道を用意すべきではないか。

文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第1回)議事概要

萩生田文部科学大臣「高大接続改革の一環として、高校関係者、大学関係者等の意見、協力をもらいながら大学入試改革に取り組んできた。英語の民間試験の活用及び大学入学共通テストにおける記述式問題の導入について、来年度の実施を見直さざるを得ないとの判断を昨年行った。これを受け、本検討会議は、これまでの経緯や課題も踏まえ、今後の大学入試のあり方について、改めてその方向性を議論いただくために設置したものである。英語民間試験活用のための大学入試英語成績提供システムについては、当初の予定どおりのスケジュールで実施するために取り組んできたが、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、等しく安心して受けられるようにするためにはさらなる時間が必要だと判断をし、来年度からの導入を見送り、延期することとした。
しかしながら、グローバル化が進展する中、次代を担う若者が英語によるコミュニケーション能力を身に付けること、そして、大学入試で英語4技能について適切に評価することの重要性に変わりはないと考えている。このため、新学習指導要領で初めて実施する入試となる令和6年度、2024年度実施の大学入試に向けて、英語4技能をどのように評価していくのか、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みとはどのようなものなのかといった点について検討をお願いしたい。
記述式問題については、民間事業者による採点の質の確保、自己採点と採点結果の不一致の解消など、指摘された課題の解決に向け、大学入試センターとともに検討を重ね、努力をしてきたが、現時点で受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは限界があると判断し、導入の見送りを決めた。
文部科学省としては、初等中等教育を通じて育んだ論理的な思考力、表現力を評価する記述式問題が大学入試において果たす役割は重要と考えいる。このため、各大学の個別選抜において記述式問題の活用に積極的に取り組んでいただくことをお願いしていきたい。本検討会議でも、共通テストや各大学の個別選抜における記述式問題のあり方など、大学入試における記述式の充実策について議論頂きたい。検討に当たっては、これまで指摘された課題や、延期や見送りをせざるを得なくなった経緯の検証も行って、それを踏まえて今後のあり方の議論につなげていただきたい。」

三島座長「これまでの経緯をしっかりと検証しながら、次にどういうふうにしていったらいいかをなるべく幅広い意見を伺いながら進めていきたいというふうに考えている。また、今回の経緯の中では、大学入試における公平性、あるいは公正性というのが非常に重要だということが指摘されているため、受験生はじめ国民が不安などを感じる制度であってはならない。そのためにも、本検討会議において改めて公開の場で議論し、高校・大学関係者のみならず、広く社会と考え方を共有しながら検討を行うことが大変重要であると感じている。」

 文部科学省「本会議の検討事項は以下の4点。
(1) 英語4技能評価のあり方
(2) 記述式出題のあり方
(3) 経済的な状況や居住地域、障害の有無等にかかわらず、安心して試験を受けられる配慮
(4) その他大学入試の望ましいあり方」

末富委員「子供の貧困、格差の改善という視点の重要性、そして、多様な主体の参画保障の重要性について、申し述べさせていただきたい。拙速な大学入試改革が結果として格差拡大政策として機能してしまうという側面を持ってしまう。」

両角委員「これまでの経緯の徹底的な検証をしっかりするべきではないか。なぜこれほどの大混乱に至ってしまったのかという検証を徹底的に行うという、それが一番最初の検討事項ではないか。検証を徹底的にすることが必要。きちんと経緯等を把握しておく必要がある。手段と目的を取り違えたことがそもそも問題だったんじゃないか。入試を変えることで高校と大学の教育を変えるという発想自体がおかしくて、教育の課題は教育の現場で解決されるべきで、入試で解決しようと思ってできることではなく、新たな問題を生むだけ。」

吉田委員「英語4技能試験、記述式も全部白紙に戻してというのなら、我々今まで何年間も費やさせられたこと、政府が決めてくれたことを戻すのか、ゼロにするのか、それを私は伺いたい。」

牧田委員「前提として、子供たちはまずは大学を選択する自由が与えられているわけで、その選択する自由に基づいて、今度は大学に入学を許可するというか、認める方は、大学はどういう人材が欲しいのか、どういう資質を持った子供たちが欲しいのかということがまずベースにある。」

柴田委員「公平、公正を担保した上で厳密にやるというようなものに大きな変化を与えるので、このまま行くのかなという懸念は持っていた。」

益戸委員「入試改革というのはあくまでも、従来の初等中等教育から高等教育にかけての教育の質の転換の中での1つの手段だった。日本の教育はこれでいいのかというところが原点だったというふうに思っている。」

岡委員「英語の民間試験の導入、英語の4技能をどうやってやるかというのを白紙で考えるのは非常にいいこと。記述式問題についても、各大学でどのようにしているかも調査して、議論するのがいいんじゃないか。」

圓月委員「高大接続改善に関しては、国公立に負けることなく強い関心を持っている。多様な学生を引き受けてきた私立大学としては、何よりもまずやはり経済的格差、地域格差等の不安というものを払拭するような案を作っていただきたい。今後、経済格差、そして地域格差、そして障害の有無等に関しての公正性を担保するような案というものを作っていただきたい。」

川嶋委員「1点目は、いかに高大接続を図っていくのかということ。2点目は、公平、公正性。公平、公正、受験機会を完全に平等にすることはできないので、大学側がこれからはきちんと受験生の様々な背景まで総合的に評価して、合否を決めるという形に日本の入試を変えていかないと、いつまでもこの問題は解決できないのではないか。」

清水委員「目的と手段という事の徹底的な検証ということと併せて、何を前提としているかという公理に当たるものをもう一回見直してみる必要がある。」

萩原委員「英語4技能をしっかりとやらせていただくということについては、全然問題を思っているわけではない。」

島田委員「大学で求められる力がどのように位置付けられているのかということ。また、それを反映した入試問題にちゃんとなっているのかといったような観点から、大学入試の恒常的な検証と改善が必要だというような問題意識を共有して、今後の入試改革を議論していくことが重要。」

斎木委員「教育の意義とは,当該個人が一生を通じて、自らの力で学び続けることのできる能力を身に付けさせることではないか。高校における教育と入学後の大学における教育とを有機的につなぐものとしての入試の役割は一定程度求められている。」

小林委員「公平性、経済格差などを解消するという事が一番大事。」

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