文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第1回)議事概要

萩生田文部科学大臣「高大接続改革の一環として、高校関係者、大学関係者等の意見、協力をもらいながら大学入試改革に取り組んできた。英語の民間試験の活用及び大学入学共通テストにおける記述式問題の導入について、来年度の実施を見直さざるを得ないとの判断を昨年行った。これを受け、本検討会議は、これまでの経緯や課題も踏まえ、今後の大学入試のあり方について、改めてその方向性を議論いただくために設置したものである。英語民間試験活用のための大学入試英語成績提供システムについては、当初の予定どおりのスケジュールで実施するために取り組んできたが、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、等しく安心して受けられるようにするためにはさらなる時間が必要だと判断をし、来年度からの導入を見送り、延期することとした。
しかしながら、グローバル化が進展する中、次代を担う若者が英語によるコミュニケーション能力を身に付けること、そして、大学入試で英語4技能について適切に評価することの重要性に変わりはないと考えている。このため、新学習指導要領で初めて実施する入試となる令和6年度、2024年度実施の大学入試に向けて、英語4技能をどのように評価していくのか、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みとはどのようなものなのかといった点について検討をお願いしたい。
記述式問題については、民間事業者による採点の質の確保、自己採点と採点結果の不一致の解消など、指摘された課題の解決に向け、大学入試センターとともに検討を重ね、努力をしてきたが、現時点で受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは限界があると判断し、導入の見送りを決めた。
文部科学省としては、初等中等教育を通じて育んだ論理的な思考力、表現力を評価する記述式問題が大学入試において果たす役割は重要と考えいる。このため、各大学の個別選抜において記述式問題の活用に積極的に取り組んでいただくことをお願いしていきたい。本検討会議でも、共通テストや各大学の個別選抜における記述式問題のあり方など、大学入試における記述式の充実策について議論頂きたい。検討に当たっては、これまで指摘された課題や、延期や見送りをせざるを得なくなった経緯の検証も行って、それを踏まえて今後のあり方の議論につなげていただきたい。」

三島座長「これまでの経緯をしっかりと検証しながら、次にどういうふうにしていったらいいかをなるべく幅広い意見を伺いながら進めていきたいというふうに考えている。また、今回の経緯の中では、大学入試における公平性、あるいは公正性というのが非常に重要だということが指摘されているため、受験生はじめ国民が不安などを感じる制度であってはならない。そのためにも、本検討会議において改めて公開の場で議論し、高校・大学関係者のみならず、広く社会と考え方を共有しながら検討を行うことが大変重要であると感じている。」

 文部科学省「本会議の検討事項は以下の4点。
(1) 英語4技能評価のあり方
(2) 記述式出題のあり方
(3) 経済的な状況や居住地域、障害の有無等にかかわらず、安心して試験を受けられる配慮
(4) その他大学入試の望ましいあり方」

末富委員「子供の貧困、格差の改善という視点の重要性、そして、多様な主体の参画保障の重要性について、申し述べさせていただきたい。拙速な大学入試改革が結果として格差拡大政策として機能してしまうという側面を持ってしまう。」

両角委員「これまでの経緯の徹底的な検証をしっかりするべきではないか。なぜこれほどの大混乱に至ってしまったのかという検証を徹底的に行うという、それが一番最初の検討事項ではないか。検証を徹底的にすることが必要。きちんと経緯等を把握しておく必要がある。手段と目的を取り違えたことがそもそも問題だったんじゃないか。入試を変えることで高校と大学の教育を変えるという発想自体がおかしくて、教育の課題は教育の現場で解決されるべきで、入試で解決しようと思ってできることではなく、新たな問題を生むだけ。」

吉田委員「英語4技能試験、記述式も全部白紙に戻してというのなら、我々今まで何年間も費やさせられたこと、政府が決めてくれたことを戻すのか、ゼロにするのか、それを私は伺いたい。」

牧田委員「前提として、子供たちはまずは大学を選択する自由が与えられているわけで、その選択する自由に基づいて、今度は大学に入学を許可するというか、認める方は、大学はどういう人材が欲しいのか、どういう資質を持った子供たちが欲しいのかということがまずベースにある。」

柴田委員「公平、公正を担保した上で厳密にやるというようなものに大きな変化を与えるので、このまま行くのかなという懸念は持っていた。」

益戸委員「入試改革というのはあくまでも、従来の初等中等教育から高等教育にかけての教育の質の転換の中での1つの手段だった。日本の教育はこれでいいのかというところが原点だったというふうに思っている。」

岡委員「英語の民間試験の導入、英語の4技能をどうやってやるかというのを白紙で考えるのは非常にいいこと。記述式問題についても、各大学でどのようにしているかも調査して、議論するのがいいんじゃないか。」

圓月委員「高大接続改善に関しては、国公立に負けることなく強い関心を持っている。多様な学生を引き受けてきた私立大学としては、何よりもまずやはり経済的格差、地域格差等の不安というものを払拭するような案を作っていただきたい。今後、経済格差、そして地域格差、そして障害の有無等に関しての公正性を担保するような案というものを作っていただきたい。」

川嶋委員「1点目は、いかに高大接続を図っていくのかということ。2点目は、公平、公正性。公平、公正、受験機会を完全に平等にすることはできないので、大学側がこれからはきちんと受験生の様々な背景まで総合的に評価して、合否を決めるという形に日本の入試を変えていかないと、いつまでもこの問題は解決できないのではないか。」

清水委員「目的と手段という事の徹底的な検証ということと併せて、何を前提としているかという公理に当たるものをもう一回見直してみる必要がある。」

萩原委員「英語4技能をしっかりとやらせていただくということについては、全然問題を思っているわけではない。」

島田委員「大学で求められる力がどのように位置付けられているのかということ。また、それを反映した入試問題にちゃんとなっているのかといったような観点から、大学入試の恒常的な検証と改善が必要だというような問題意識を共有して、今後の入試改革を議論していくことが重要。」

斎木委員「教育の意義とは,当該個人が一生を通じて、自らの力で学び続けることのできる能力を身に付けさせることではないか。高校における教育と入学後の大学における教育とを有機的につなぐものとしての入試の役割は一定程度求められている。」

小林委員「公平性、経済格差などを解消するという事が一番大事。」

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